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操体医学研究所 今治療室
 
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温古堂ものがたり写真・操体医学研究所 今治療室
1.おんころや先生
2.俺怒ってるんでネェんだ
3.操体法
4.サカサマ 不思議
5.何んぼ言ってもワガンネェ
6.パンク
7.捻挫
8.くすぐり
9.ア・イ・ウ・エ・オ
10.クシャミ

温古堂ものがたり・操体医学研究所 今治療室



 
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3.操体法・温古堂ものがたり・操体医学研究所 今治療室     翁先生・温古堂ものがたり・操体医学研究所 今治療室

    「キモチイイ事すれば、

    よくなる様に出来てるんだから……」

と何年、いや何十年叫び続けている事だろうか。

今でも「ボケたボケた」と少し物忘れすることを楽しんではいるが、「キモチワルイ事やれ!」 とは決して言わない。


色んなお客さんが次々と訪れるが、理屈ギライの翁先生はウムを言わさず

    「 そこに寝てみなさい」

とベットを指さす。

    「やってみなくちゃわがんネェんだから」

と自分のペースに引きずり込む。

膝ウラの圧痛を押さえられて飛び上がる。
ニッタリしながら

    「ホーラこんなにイデグなってんだ」。

そして

    「ハイ、スウーッとつま先上げてぇ〜」。

    「ハイ、ストン」。

    「……ホレッ、いでぐネェ」。

    「立って歩いてみなさいよ」。

    「……どうですか?」。

「アレッ、アレレッ、軽くなりました」。

    「ホラネ、そうなってんだ」

……着席。

    「まあ、ウソかホントか
やってみることだナ。

    キモチヨク動けば

    治るようになってんだがら」。

    「俺考えたでネェヨ。

    自然にそういう風に出来てるんだ。

    まあ、

    野次馬根性があればの事だかネ」


とこんな調子で会話が進む。
みんな何が何だかわからない。


画像・温古堂ものがたり・操体医学研究所 今治療室



それからいろんな操法をやるうちに、苦痛が現れる動きから反対にキモチイイ方に動いて、ポンと力を抜くと、苦痛だった方がだんだん楽になってくるんだ、という事を体で知る。
圧して痛い所がある時は、その痛みがなくなるように、逃げるキモチイイ動きをして、ポンと脱力すると圧した痛みがだんだんなくなってくる事を、これまた体で知るようになってくる。

翁先生はお医者さんだから、『きもちいい事すればいいんだ』というこの事実を、同志に伝える事にずーっと頑張って来た。
色々な雑誌にも書いたし、 テレビ、ラジオにも出演し、「ホントウはこうなんですョ!」と訴え続けている。

操体と名付けられたこの生き方の法則は、だんだん世間に広まってきている。
小学校の朝礼で、また役所の保健婦さんが勉強し一般の家庭へ 、全国の医師、治療師その他温古堂先生のファンの方など、たくさんの方々が、少しずつ少しづつ輪を広め続けていて下さる。

こんな様子を翁先生はちゃーんと知っていて、色々とアドバイスしてくれる。

    「みんなで仲良くドンドンあばれろ」。

    「だけど威張ったら最後、バチ当たる」。

    「まあ、あとは若い人たちで

    思ったことやってみでくれや」。

    「天然自然の法則だけは、

    何したって変わらネェんだがら」


と言いっ放し、無責任体勢のサービスが続く。

翁先生の勉強された生き方を、医学の中に含めて応用したこの『操体』。
「体を操る」という所から発想された、ボディ=パイロット、体の運転法だ。

環境の中で息をつき、物を飲み食いし、動き、考える。
要約すると、これが動物として最低必須なんだそうだ。
息、食、動、想、環境は、いつも切り離れず、お互いに助け合って、補い合っている。
これを翁先生は『同時相関相補連動性』という言葉で表現している。

つまり、この五つの中で一つでも不快になると、連なって不快にもなり、一つが快(キモチヨク)になると連なってキモチヨクなってくる。
それがいつも瞬時変化しているというのである。
考えてみるとホントにそうですよね。

それに、100点満点が目標じゃなく、60点でいいという。
「間に合えばいい」精神で、何とも欲がなくて、のんびりしていて最高だ。

    「欲張るとケガをするゾ!

     間に合えばいいんだ」

と教えてくれる。

息、食、動、想の、自分でしなければいけない事四つと、環境を60点以上に気持ちよくしておけばいいという事らしいが、 少々無理して気持ち悪い事もしないと生活出来ないような世の中になり過ぎてしまっている。

あたかも気持ちいいことをするという事が悪い事みたいにしつけられている。
気持ちいいということは感覚の世界になる。
それ故翁先生は

    「考えたってわかんネェ。

    ウソかホントか

    やってみなくちゃわかンねえよ。

    まあ、動くのが一番手っ取り早いな」

とつぶやき、ゴザを敷いたベットで、操体の入り口から指導してくれる。

    「 『生命現象はバランス現象だ』

    という事がみんな分んねェんだな」。


100%バランスが取れている人も、60%バランスの人(合格・間に合う)も、40%バランスの人(具合が悪い・病気だ)も、み〜んなそれなりに生きている。
気持ちの悪い事をするとパーセンテージが下がってくる。
すると体は歪みを作り、コリやつっぱり感や苦痛という症状になって感じるサインとなる。

そしてもっと気持ちの悪いのを続けると、動きがギシギシしたり、動けなくなったり、内臓などの働きが悪くなったりしてくる。
それでもまだまだ我慢して気持ち悪い事をすると、骨や関節、そして内臓まで腐ったり、破れたりしてきて病気などという羽目に陥るワケだ。

呼吸の感覚、飲食の感覚、精神の感覚、環境の感覚、これらの原始感覚に対して気持ち悪い事をすると、


1・A=歪み(こり、しこり)

2・B=感覚異常(苦痛、つっぱり感 etc)+(A)'

3・C=機能異常(肩が動かない、下痢 etc)
+(A)"+(B)'

4・D=器質破壊(胃潰瘍 etc)+(A)'"+(B) "
+(C)'


1〜4へ進んでいくが、こり感やつっぱり感を感覚出来ないでいる人も中にはいるようである。
また一度に4に行く場合も有り得る。
交通事故などでの外傷、けが、etc。


気持ちのいい事をすると、


1・歪みがなくなる

2・苦痛がなくなる

3・働きがよくなる

4・器質変化がよくなる(治らないものもある)


このように良くも悪くもなって、これが病気になったり、治ったりするプロセスだ、と翁先生は言う。

つきつめると、キモチイイ事をすることが生命現象としてのバランス制御法ということになる。

 

 

 

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初出 研究誌「操体 SOTAI」1986年
『操体法治療室』三浦寛・今昭宏/共著 第一章「温古堂ものがたり」  たにぐち書店
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