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操体医学研究所 今治療室
 
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温古堂ものがたり写真・操体医学研究所 今治療室
1.おんころや先生
2.俺怒ってるんでネェんだ
3.操体法
4.サカサマ 不思議
5.何んぼ言ってもワガンネェ
6.パンク
7.捻挫
8.くすぐり
9.ア・イ・ウ・エ・オ
10.クシャミ

温古堂ものがたり・操体医学研究所 今治療室



 
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4.サカサマ 不思議・温古堂ものがたり・操体医学研究所 今治療室     翁先生・温古堂ものがたり・操体医学研究所 今治療室

温古堂には、オナカの中にいる赤ちゃんから老人まで、患者さんは様々だ。
逆子の治療などもけっこう多い。


ある日、腰痛で逆子だと病院で言われた、三十過ぎの御婦人が治してもらいに来た。
膝ウラの左側にしこりがあって、圧診すると飛び上がるほど痛がり、顔をしかめる。
オシリの所にも圧痛があり、圧するとビクッビクッと逃げる。

両膝を立てて、左右にゆっくり倒すように動いてもらうと、右側に両膝を倒してゆくと左側のオシリから腰のあたりがつっぱって苦しいという。

そこで両膝苦しい方から反対の左側にユックリ自由にキモチヨク動くようお願いし、一番キモチイイ所で動きを止め、私は支えている。

数秒そのままにしておいて、腰から全身の力をカクンと抜いてもらった。

二回やったか、三回やったか覚えていないが、そのあと右側に倒してもつっぱり感がなくなったといい、キョトンとした顔で私を見る。


また膝ウラを圧してみたが両方グニャグニャになっていて、こりも圧痛もどこかへ消えてなくなってしまった。
未だにどこへ行ったか知らない。

「立って歩いてみて下さい」と言うと、ヌッと起き上がり、「あれ!?」とニコニコしている。
「だいぶ楽になったみたい!」とうれしそう。
自分でも家でやってみて下さいネ……。


数日後温古堂に電話が入った。
「○市の○○ですけど……。腰痛いのが治ったら、逆子も治って……。
ありがとうございました。
どうしてもお礼が言いたくて………。」
とってもうれしそうだった。

それで私はいつものように
「それは自分の力で治ったんですヨ。
こちらで治したんじゃないんだから。
毎日続けてやって下さいネ!」と胸をはって言ってやった。
相手に見えないことを知りながら……。


お母さんの体がアンバランスになって腰が痛くなったりする。
お腹の中の子供は多分気持ち悪くなって、キイモチイイ格好になるように、いろいろ動いているんだ。
知識がない胎児は、キモチヨサの中で生きていたいから、本能的にサカサマになって、バランスを取りながら生きているんだ。


画像・温古堂ものがたり・操体医学研究所 今治療室


母体のバランスが六十点以上になってキモチヨクなると、今度は元の位置がキモチヨクなるから、またサカサマになるんだ。
何がサカサマなのか分らなくなってきたが、バランスが取
れていれば胎児はサカサマになっているのがキモチイイのだ。




不思議



温古堂に来れば一回で良くなる、という人も中にはいるが、みんながみんなそうとはいかない。

五十肩とかいう病名を付けられて、信じ切って何ケ月も、いや 何十年も腕が上がらないといった人だ。
一日も早く治りたいと訴える。
だから一生懸命頑張って、毎日痛い肩をがまんして動かすよう に努めているという農家のアルジだ。
毎日欠かさず続けたという努力には敬意を表するが、無茶というものだ。

痛くともガマンしてガンバッテ動かしても、治る場合も時にはあるのだ。
これには実は訳があって、痛いのに無理をして動かしたから治ったのではなくて、肩の痛みに耐えかねて無意識に体を捻ったり、曲げたりして逃げ動いているからだ。
無意識に逃げたからだのおかげで、痛いのをガマンしたおかげではない。

五十肩とか言われて来ると、みんなそうだが肩だけ治してもらいた くて、「ここが痛くてェ」と肩を出す。
翁先生はこんな時いつもこう言う。

     「肩だけ治すんだったら、

    肩こごさ切っておいでげ!

    明日まで治しておぐがら………」

ともう決まり文句になっている。
操体の考え方では、いつも体全体を一つと考え、常に全体のバランスを取ることが目標になる。

この農家のアルジのオジサンは、ゴザのベットのマナイタのコイのようにアオムケになった。
翁先生はジーッとコイを視た。
そして私に「首ミテミロ!」という。
首のうしろ側を触って圧痛を調べてみろという意味であって、見ろ! ではない。
触(ミ)ろ!だ。

触れてみると、右側の首のうしろにゴロッとしこりがあった。
左側にはない。
首の中心に向かってグッと押すと、右目を思いっきりかむようにつむり、手も腰もビクビクッと動いた。
「こんなにイデグなってんだもの」と言ったら、オドロイタ。

まあだコイみたいにしているから、こう言ってやった。
「イネカリもう終わったんですか?」と。
春だったらタウエでせまる。
雑談しているうちにだんだんナマズのようになってくる。


ひとこと翁先生が声をかけた。

    「片っぽの足、

    曲げないでまっすぐに上げてみなさい」。

ナマズは右足を上げた。

    「ハイ、おろしてェ」。

ここで翁先生無言の内に、ナマズは気を利かしてすぐに反対の足をスッと上げる。
すると先生は元気よく

    「ダレアゲロッテイッタァ!!

    人の言わねごど スンナ!」。

み〜んなビックリする。

私もまた、コイになりはしないかと患者を気づかい、イネカリじみた会話の中にホホエミを作るが、ひきつったナマズの笑顔にまた、不安を抱くのだ。

突然、翁先生が

    「へっへっへぇっ」

とテレ笑いしながら、

    「俺、オゴッテンデネェンダ。

    つい大きい声だしてしまうだけだから」

とイイワケす る。


そんなこんなで「どっちの足が上げやすい?」と聞く。
すると、ホントかどうかしらないけど「右が上げやすいです」と言う。

……私には左が上げやすいように見えた。

まあいいや、と思いながら、左のカカトを支えオヤジサンに「この左のカカトを、ゴザの方にユックリ下げて」……
「どうですか? どっかつっぱったり、痛くなったりしない?」 と問い質した。

すると軽く下げている割には、腰から肩までいやなカンジだという。
動きを見ていても何となくギコチない。

「じゃあこっちの足を上げてみて。こっちはどう?」と聞くと
「こっちは大丈夫だ」という。
「それじゃあそのまま体全身自由に動いて、キモチイイようにスゥーッとうごいてェ」……
「イイナと思った所で、ハイストン」。

脱力がウーンとヘタクソだ!
でも「結構上手だね、どっかでこんなのやったことあるの?」と言うのだ。

「じゃあもう一度下げてみて下さい、ユックリですョ。腰も背中も肩も自由にキモチヨク動いてェ……
腰の力を抜くつもりでェ、ハイカクン」。

オドロキ、ウソみたいに上手に脱力した。
翁先生も見ていて思わず「うまい!」とほめてくれた。


私はナマズの頭の方へ行き、もう一度首のうしろの圧痛を探ってみた。
半分くらいになっていた。

今度は膝を左右に倒してもらった。
すると、両膝を右側へ倒すと、肩の辺が苦しくなるという。
だから「左側にユックリ倒してみて下さい」。

私は両手で軽く膝を支えた。
「痛みやつっぱりがない所まで、自由にキモチヨク動いてみてェ」。
動きが止まった所で「どうですか? 肩の辺も楽ですか?」と聞いてみた。
するとオジサンは安心した表情で「ハイッ」と答えた。
「腰の力を抜くつもりで、ハイッ、カックン」。

ウマイモンダ。

「どうですか? どこも苦しくなかった?」。
「ハイッ、肩の方までスゥーッとしてきました」。

一回か二回か忘れたが、動いてみたいだけやってみた。
すると今度は右側に倒しても、肩の辺の苦しさがなくなった。


「立って歩いてみて下さい」と言うと、歩きながら「足の方がとっても 軽くなりました。肩はまだ少し変ですが、だいぶ良くなりました」と上下に動かしている。


画像・温古堂ものがたり・操体医学研究所 今治療室


「最初10くらい悪かったとしたら、今はどのくらい悪いですか?」。
「5か6って所かなぁ」。


今度はうつ伏せになってもらい、片方ずつ膝をゆっくり曲げてみる。
右足のカカトがオシリまで付かない。
十センチくらい離れている。
左足も堅いが、こっちは五センチ程度だ。

「右と左を曲げてみて、どっちの足がつらいですか?」。
「右足を曲げられると、モモがつっぱって腰も苦しいです」。
「それでは、右足のカカトを伸ばすような感じで、ユックリ伸ばしてみて下さい」。
………足が伸びてくる。
顔を見るとかなりキバッテ、ギューッと伸ばしている。
そこでどんな感じかと問い質してみると、腰がつっぱって苦しいという。

「そんなに頑張らなくていいんですョ。苦しくないように、もっとフゥーッとユックリ伸ばしてみてェ」。
又伸びてくる。
今度はからだの動きにも、表情にも無理がないようだ。

「どう? 苦しくない?」
……ハイ、こんなに軽くでいいんですか?何ともないです!」。

そのままキモチヨク動いてもらい、数秒後「膝を下に落とすようにして、 ハイ、ボタン」。
これは結構みんな上手に脱力出来るようだ。

「どうでした? キモチヨカッタ?」。
「ハイ、スーッとしました」。

そしてまた、右足を曲げてみると、ウソみたいにペッタンペッタンとカカ トがオシリにくっつく。
左足までカカトがオシリに付くようになっていた。
これには見ている人も本人も、もちろん私までいつもビックリさせられる。
うーんと人間の体は不思議だ。


今度はまた、立って歩いてもらうと、肩の痛みが2か3くらいに良くなっ てきたという。
足の方はウーンと軽くなったし……。
でももう少し腕が上がらないと訴える。

欲張るとケガをすると思いつつ、 腰掛けてもらいうしろから肩甲骨の中央を探ってみた。
右側にゴロッとしこりがあった。
圧すと、イデデデェ! と顔をしかめ逃げる。
この逃げる動きがポイントになる。
肩を耳の方にピクッと動かした。

私は右手の中指で、肩甲骨中央の圧痛点を押したまま「ハイ、この痛みが 消えるように、右肩を右耳の方に引き上げてみて下さい」。
肩が上がってきて、「こうして上げていると、この痛み(肩甲骨中央の圧痛)なくなるでしょう?」。
「ハイ、痛くないです」。
「どこもつらくない?」。
「ハイッ」。
「少しそのまま上げといてよォ……ハイ、ストン」。

内心「ヨシッ!」と思った。

また探ってみると、しこりが消え、圧痛もなくなった。
「もういたくないです」と不思議そうだ。
私だって不思議だ。


ちょっと話が横道に逸れますが、「不思議」という言葉の意味を知っていますか?
これは「思議すべからず」とかいう意味らしいです。
つまり考えたってわからない。
不思議なものは不思議でいいんですと。


そしてまた立って歩いてもらうと、う〜んと、う〜んと楽になったそうで、二つか三つ基本的な動きを覚えてもらい「あとは自分で、家ででも田んぼの中ででも、いつでもどこでもやってみて下さい」。
「でも、もう少しいろんなことを覚えた方がいいから、あと2〜3回いらしてみて下さいネ」。
こんなんで終了。

サシミにされなくて良かったね、と目で合図すると、オヤジサンはコイノボリのようにオッポを振って帰って行った。

オダイジニー。

 

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初出 研究誌「操体 SOTAI」1986年
『操体法治療室』三浦寛・今昭宏/共著 第一章「温古堂ものがたり」  たにぐち書店
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