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1.おんころや先生
2.俺怒ってるんでネェんだ
3.操体法
4.サカサマ 不思議
5.何んぼ言ってもワガンネェ
6.パンク
7.捻挫
8.くすぐり
9.ア・イ・ウ・エ・オ
10.クシャミ

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7.捻挫・温古堂ものがたり・操体医学研究所 今治療室     翁先生・温古堂ものがたり・操体医学研究所 今治療室

足首捻挫の農家の主人だ。
娘さんと一緒に来た。
正座をすると左足首がつっぱって痛いという。


仰向けに寝てもらい、一応形態観察をする。
完全に左足の方が長く(3センチくらい)、それに外側へ倒れている。
一応娘さんに見てもらい、ビックリしてもらう。

「痛いことを絶対しないからネェ」と言いつつ、私は何となく足指のウラを一本一本ジックリとさぐってみた。
すると「イデデェ〜」と顔をクチャクチャにひん曲げて、ギブアップを宣告する指がある。
かわいそうだけど、こんなに痛くなってんだ! とわざとオドロイタ振りをして、もっとつまんでいる。
左足の第二指だ。

腰をピクピク動かし、「もう助けてくれ!」とも言わんばかりに、私に目で訴え続ける。
「痛いことしないから」と言った建前、あまりつまむとウソになると思い、少しでやめるのだ。
でも、ほんのちょっとの力で足第二指のウラの激痛をモガキながら訴える姿をジックリ拝見させていただくのも、後々の操法に役に立つのだ。

右足も同じくらいにつまんでみても痛くないと言う。
本人は足首を捻挫したのに、どうして足の指なんて……、と思っているに違いない。


次に、いつものように両膝を立てて、膝ウラのシコリをムンズとつかむ。
左側に硬くなったアンコロモチでも入っているかのように、ゴロリとシコリがいた。

いるぞ!と思って一番痛そうな所を、顔を見ながらちょっっとだけグリグリと押しつまんだ。

イデデデェ〜! 

腰を弓なりにそり上げ、 足はベットから浮きはねる。
私は又オドロキ、 「ほらぁー、こんなに痛くなってんだものォー」と左右の違いをおもいっきり訴えてみせる。
すると彼もタマゲル。


ふつうは左足のつま先を上げてもらうと、膝ウラのシコリがけっこう消えるのに、この人は消えない。

フムーと考え 、今度は右足のつま先を上げてもらい左膝ウラをさぐってみた。
すると、かたかったアンコロモチがつきたてのようにフニャフニャになっているではないか。
シメシメこれだ! と内心思ったが口には出さない。

「ハイ、 右足のつま先そのまま上げててよォ……どこも痛くないですね……ハイストン」。

上手に抜けた。
右つま先上げ、これ二回やったら左膝ウラの圧痛がなくなってしまった。


次にうつ伏せになってもらい、片っぽうずつ膝が曲がるようにカカトをオシリにつけてみた。
ところが左足がかたくてオシリまでつかない。
左足を曲げると痛いらしく、腰をピクピク動かす。
この動きが大切だ。

私は「左足を曲げてみますから、痛くなったら腰をちょっと捻って痛みから逃げるように動いてみてェ」と言った。
そして膝をソロリソロリ曲げてゆく。
顔を見てると痛いのがわかるから…。
カカトをオシリにつく五センチ位の所で彼の顔は歪み始めた。

「ハイ、痛みから逃げるようにオシリをねじってェ」と私は足を五センチの所で支えたままにしている。
左のオシリがねじれてきた。
さっき逃げたのと同じ動きだ。

「どうですか、 痛みなくなった?」…「ハイ痛くないです」
…「ハイそのままオシリを捻ったままでいてヨォー」、顔の歪みの消えるのを確かめて、「腰の力を抜くつもりでェー、ハイカクン」、うまく抜けた。
これを二回やった。

するとカカトはペタンペタンとシリにつくようになった。
痛みもなくなりましたと、後ろをふり向いてほっぺたにゴザのアトをつけていう……。


そして後、ほっぺたを又ゴザの上につけ、次に左足首をひねる動きをためす。
うつぶせになって、片膝だけ曲げた格好にして足首を内と外にひねってみる。
すると彼は内にねじるとイズイと言う。
だから、その内から外の方にねじるように私はお願いした。

私の手は、片方はカカトを、もう片方はもちやすいように足首の方を全体的にかるーく支えている。

足が徐々に外にねじれてくる。
私は肘をしめて、その動きを腰でうけとめてあげるように、ドッシリとソフトにその動きについてゆく。

「キモチのイイように腰も背中も自由に動いていいんですよ 」といいながら 、彼の全身の動きの連動の美しさを感じつつ、 タタミのアトのついていない方のホッペタの見える片顔をチラッとみる。
けっこうキモチヨサそうな顔をしてたので、 私は手を止め、さらに安定をはかり腰で支えた。

一瞬、 私と彼の体は一体となって快感をかもし合っているような世界になる。

…数秒たっただろうか、何となく私は「ハイスポッ」といった。
彼が脱力すると私もつられるように、 足の支えの力から全身に充実した力がホッと抜け、フゥーッとため息がもれた。

自然におなかに空気が入ってくる。
これがまたウンとうまい。
まさに快感の共有である。


翁先生はナイショで私にこう教えてくれた。

画像・温古堂ものがたり・操体医学研究所 今治療室

    「人の痛い所がわがんのがプロよ」

    「人の
     キモチイイのがわがんのがプロよ」

と触診の大切さと、繰法の極意をタンタンと、さも平然と説いて見せつけてくれる。


翁先生は患者さんの快感をキャッチしながら繰法をやっているんだ。
そうか、すべて原始感覚なのか! と思いつつ農家の主人の足首を又内と外にねじってみる。
思った通りイズイ感じは快感の中に消えてしまっている。

「立って歩いてみて下さい」

……「足が軽くなりました」

…「今度は正座してみて下さい 」彼はモソクサとベットの上に正座する。

「あれェ!正座できます。つっぱる苦しさがなくなりました 」とオドロク主人に、私はさも当然だ!と、言わんばかりに 「治るようになってんだから、自分で治したんだよ」と知らんふりする。

そして、 足の長さが違っていたのはどうなったかなぁ、と思いつき「ちょっと仰向けにもう一度寝てみてください」と事もなげに言う。

チョチョッと足を動かしてみて、アラッとオドロイタ、ピッタシカンカンである。
でも当然のごとく、「 足もそろったし、大丈夫だ!」といいながら最初との違いをムスメさんにも見せ、みんなでびっくりする。

私もビックリしたが、 アタリマエダ! とも言わん顔で平然とカルテに記入した。

……”動き方が上手だ”と…………。

 

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初出 研究誌「操体 SOTAI」1986年
『操体法治療室』三浦寛・今昭宏/共著 第一章「温古堂ものがたり」  たにぐち書店
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