操体医学研究所 今治療室
 
操体医学研究所 今治療室
 
   

操体医学研究所 今治療室・操体法・仙台勉強会&講習会

操体医学研究所 今治療室・操体法仙台勉強会&講習会

 
温古堂ものがたり
新温古堂ものがたり
操体法 仙台勉強会 & 講習会
三軸操法
 翁先生のお話  操体おみくじ
コンせんせの音楽室
 仙台操体医学院ブログ  操体掲示板

河北操体リハビリ教室 2002.07.24 今昭宏

河北町役場にて

今日は、河北町主催の「リハビリ教室」という脳卒中などの後遺症
のある人たちが対象の、操体勉強会でした。
ほとんどのひとは、片麻痺で車いすや杖歩行です。
20名ほどの人がテーブルを囲んでイスに腰掛けていました。
「こんにちわー」(^^)、勉強会が始まりました。


今回は「かわの操法」だけでやってみよう。
そんな気持ちでスタートしました。
「オデコのかわをこうして上と下に動かしてみてぇ」
と私がいいました。
実は、前回もこれは練習済みで、今日が2回目でした。

納豆が大好きそうな、納豆じいちゃんが、
「おれは、上さ引っ張ると、いいんだぁ」
と、家でもやってみていたようです。
そして「上の方に動かすと、すーっとイイ感じになるんだこれが」
「ワルイほうはしないで、いい方にするんだったもんねぇ」
「いい方だけやればいいっていうのは、いいことだねぇ」
「イヤなのはイヤだからしないで、イイのをイイようにやれって
いうんだからイイのよねぇこれはぁ」と、元気で大変いいのですが、
話が粘っこくてちょっとうるさいんです。

そのとなりの、はくさいのつけものが好きそうなばあちゃんは、
「私ゃ、両方の手が痛くて動かせないんで、自分ではできないんだぁ」
と少し、しょげていました。はくさいばあちゃんは、リウマチらしく
手の指があちこち曲がっていました。


その二つとなりの頭に毛のないおやじさんは、勉強会がはじまって
まだ5分位しか経っていないのに、もう居眠りをはじめています。
「眠くなった人は自由に寝ててもイイですよォ」と私が言うと、
となりのおばちゃんが、大笑い。その声で目が覚めてしまいました。

その三つとなりのニコニコおとうさんは、言葉が話せず、
ずーっとにこにこ笑い顔です。右マヒで、いつもメモ帳に左手で
書いて会話をします。


さて、操法がはじまります。
ひとりずつ「カワの操体」を私が手伝って、その味を
味わってみてもらうことにしました。

というのは、前回、説明してやって見せたのですが、
「かわを動かす」と言っても、みんな揉んだり押したり
するだけで、うまいことできなかったんです。


ということで、はくさいばあちゃんからスタートです。
肩、二の腕、肘の下と3カ所のかわを、内と外にねじるように
やってみました。「どれが気持ちがいい? 」と聞くと、
「肘の下を外にしてもらうのがいい」と即答でした。

私がそこをぴったりじゅわ〜っと動かしてゆくと、
はくさいばあちゃんは、勝手に手を内側にひゅーっとねじるのです。
動いてくださいと言われなくても、動きたくなったのでしょうね。
カワの気持ちよさで、眠っていた筋肉が目覚めてうごめいている。
そんな感じでした。

「そうそう、動きたいようにいいように動かしてぇ」といったら、
見事に連動して動いてくれました。
「いい感じがなくなったら教えてよぉ」
一分位やってたでしょうか、「はい、よがすぅ」というので、
ゆっくりとかわを戻しながら、へばりついた手をメリメリと
はがしました。

「手がうーんと軽くなったわぁ、さっきまで痛かったのに、・・・」

となりで納豆じいちゃんが「ほおーっ」といいながら、
自分の腕をひねっていました。
ここから、この納豆じいちゃんを「ヤジウマ納豆」と改名する
こととなりました。


さて次はヤジウマ納豆の番です。
納豆は私とはくさいばあちゃんのやりとりをしっかり見ていた
し、やってみてもいたので、すっかり覚えたような、エラそう
な顔をして待っていました。
しかし、その顔もカワを動かされた瞬間に崩れ去ってしまいました。

私が納豆の肩を両手で挟むようにして、かわを外にほんの少し動か
したのです。そうしたら「なんだー、すーっとしてきもぢいいなやー」
ときょとんとして肩を見て「そんなにギッとしてねぇんだなぁ」
といいました。

見ているともっと強くやっているように見えたのでしょうね。
そして、自分でも肩に手を当てて、かわを動かしてみるようにいい、
やってもらいました。
「少しでもきもぢいいんだなやー、これならだいたいの人できるなや」
てなことでした。

それにしても、ここにいる人たちは、どうしてこんなに
ワイワイ元気で明るいのだろう。あちこち痛くてマヒしてて
しびれて歩けなくているのに・・・・・・。
不思議な集団なんです。ここの人たち。

電動ドリルおじさんにはびっくりしたというか、少し感動しました。
前回の勉強会のあとのお話です。
保健婦さんが、祭りか何かで使うビニールパイプに穴をあけるのに、
片マヒのおじさんが、動く方の手で電動ドリルを操作して、穴開け
作業をしていたんです。
保健婦さんはパイプを固定して持っている係でした。見ていた私も
手伝ったのですが、やっぱり固定する係しかさせてもらえませんでした。
おじさんが、片手でイキイキと電動ドリルを操作する姿。
なんともいえないイイ気分でした。


今度は電動ドリルおじさんの番です。
左側の手足が硬くなってマヒしていて
「俺は腰がイデンデガすぅ」と笑って言いました。

「どれどれ、腰のかわも動かしてみればイイ感じがあるかも
しれないなー」と私はドリルの横に立って、腰のあたりの洋服と
シャツをまくりあげて、皮膚に直接手の平をくっつけて、
じわーっと下と上に動かしてみました。

私の感じでは、下にはつっぱって動かしにくく、上にはすーっと
動かしやすかったのですが、ドリルは、
「下さしてもらうど気持ぢいいなや〜」とのやはり即答でした。

ドリルもやっぱり、カワの動きにつられるように、
背中のあたりも動き出しました。でもドリルはからだの動きには
気づいていない感じで、「へえーっ、かわっこうごがしてるだげ
なのに、なんだやぁ、腰すーっと軽ぐなってきたわー」と
みんなにニコニコアピールしました。

30秒程やってたでしょうか。私は手をはがし、
「ちょっと自分でもやってみてぇ」と言いました。

ドリルは右手を腰に当てて、ちょこちょこ動かして、
「あれーっ、おれがすっと上のほうがきもぢいいなぁ? 、
なんでだべせんせぇ」と首をかしげていいました。

「さっきと今は違うんだから変わってくんのよ、からだも感じも」
「とにかく、その時にイイ感じになるようにかわをずらしてやれば
いいんだぁ」
「ほら、そうやってやっているうちにも変わってくるでしょう、
腰の感じ」
「ほんだねぇ、変わったねぇ、何ともねぐなったら、
もういいんでがすよね」

「いい感じがなくなったら、まあ大体おわりにしていいんです」。

「へえーっ、こんなんで効ぐんだー、かわっこずらすだげでー」
「いやーホント楽になったわぁ」とうれしい顔で
ドリルは立って腰をくるくる回しました。


次は、となりのちっちゃいばあちゃんの番です。
左のマヒで足が痛いという、今回がはじめての方でした。

私は腰掛けているばあちゃんの左側にしゃがんで、
「はじめてですよねぇ、操体は? 」といいました。

「はい」ばあちゃんはぺこんと頭を下げていいました。

ほかの人たちは、好き勝手なことをして遊んでいます。
世間話をしてくすくす笑っているおばちゃんふたり。
居眠りおじさんは、口を開けて、もうすっかり熟睡に
入っています。

そのそばを、だれかのお孫さんなのか、ひとり幼稚園位の
女の子がスキップして走り回っています。

なんなんでしょう、操体の勉強会だというのにこの雰囲気は。
でも、なぜかとても心地いい。このどうでもよさ。

私は片膝をついたまま「どのへんが調子よくないのかなぁ」
とききました。

「足が痛くてねぇ」とばあちゃんは自分の細い太モモを
さすって痛い顔でいいました。
「このへんですかー? 」と私は両手を細モモの前に
そっと置いて、かわを内と外に動かしながら
「どっちがイイ感じがするかなぁ」とたずねました。

「そりゃ、内のほうがいいですぅ」とのことで、私は
ズボンの上から、じわーっとモモのカワをウチに動かし、
「・・・・・・・」と少しだまっていました。

するとばあちゃんが、なにやらぼそぼそと話し出したのです。

「わだしはねぇ、42のときに頭の血管がつまって
左の手足が動かなくなってねぇ、そのあど心臓も何回も
手術して、ほらこごさこんなのくっついでるんでがすぅ。
なんでこんなごどになってまで生きねばなんねぇのがねぇ」
と、しっとりうるうる話すのでした。
そのとき、私は、何も答えることができなくて、ただ
だまってその話をきくしかできませんした。


一分くらいたったでしょうか。
私は「こうしてもらっていると、気持ちいいですかぁ? 」
と、手を当てたままききました。

「いいきもぢでがすう」ばあちゃんは少しほほえんで
そういいました。


次は、この会が始まってからずーっと居眠りばかりしている
イネムリおとうちゃんの番です。
車いすに座っていて、両足の自由がききません。

「どうですか、ちょっと眠いですか? 」と私。

「へへーっ」(^_^;)と笑ってごまかすイネムリおとうちゃん。

私は、なんとなく頭のかわを動かしてみることに決めました。

「おでこの髪の生え際のかわを動かしてください」
 
 この説明だけだと、イネムリおとうちゃんのように髪の毛が
ない人は、へたすると後頭部のカワを動かすことになってしま
います。それでもいいのですが、おでこのかわの操体のやりか
たを教えることにしました。

「こうして、目を大きく開けるとヒタイにしわが寄るでしょう。
 そのしわのてっぺんあたりだと思ってイイです。
 そのへんのかわを上下左右に動かしてみるんです。

指先でもイイし 手のひらでもイイですから、」と私は
右手で頭の後ろを支え「こうしてこれが上と、下の感じ、
これが右と左の感じ、どれがイイ感じ かなぁ? 」と、
左の手の平をぴったりとオデコにくっつけて、じわーっ
と動かしました。

「上がイイなやぁ、頭、すーっとしてきもぢいいネェ」

「強さはどうかなぁ、もうちょっと強いとこんな感じ、弱いと
 こんな感じなんだけど、とっちがいい? 」

「強い方がよがすネェ」

「このくらいでいいかな? 」

「んだねぇ、そんくらいがイイなやぁ」

「いい感じがなくなって、もういいなぁと思ったら教えてよぉ」

このときのイネムリおとうちゃんの顔はとてもいい顔でした。
あまりよく見てしまうと「ぷっ」と吹き出して笑ってしまいそうになります。

斜め向かいの世間話おばちゃんふたりは、この顔を見て
指さしてくすくす笑っていました。

私もこらえきれなくて少しだけ笑ってしまいました。


「もういいねぇ」。

 私は、ゆっくりとかわを元に戻し、めりめりめりりっと手を
 はがしました。

「どうですか、こんな感じで居眠りしながらでもイイですから
 やってみてくださいね、できそうですか? 」。


「はいっ、」(^^)と、イネムリおじさん、やっとお昼寝から
 目覚めたようでした。


今度は、右マヒで話すことができないメモおじさんの番です。
いつもニコニコのメモおじさんは、私が「どうですかぁ? 」と
背中に手を当てたら、すぐにメモを始めました。

メモおじさんは、にこにこしながらちっちゃいメモ帳に、
ものすごくヘタクソな字で、一生懸命ゆっくりと

「じしやくのまつとはどうですか」と書きました。

なっなんだこれは? 。と私は目を細めてよーく見ました。
すると、「じしゃくのまっとはどうですか」
「磁石のマットはどうですか? ですかぁ?」とききました。
メモおじさんは、にこにこウンウンうなづいて答えました。

「きもちがよければいいとおもいますよぉ」と私。
するとメモおじさん、納得がいかなかったとみえて、
すぐさまペンをとり「先生はどうしますか? 」ときました。

「せんせは使いません。でも使いたい人はためしてみれば
いいでしょうね」とお話ししました。
納得したのかメモおじさん、ニコニコ笑顔を振りまいていました。

私は、いつもニコニコしているので、顔のカワを動かしてみようかと
思っていたのですが、メモおじさんは右の肩を指さしてにこにこ
うなづきました。

「肩が痛いんですか? 」

ということで、肩をやることになりました。
私は後ろから両肩をはさんで包み込むようにして、右肩のかわを
前に、後ろに、上に、下に、と動かして感じをつかんでもらいました。
「どれが気持ちよかったですか? 」

メモおじさんは、左手で後ろを指さしてにこにこ合図をくれました。

「後ろがいいんですね、このくらいでイイ感じあるかなぁ? 」私は
右肩のかわを後ろに動かしました。

メモおじさんの肩は後ろに動いてきました。
自然にからだが右にねじれてきます。

「どうですか、いい感じですか? 」

うんうんうなづくメモおじさん。

「いい感じがなくなったら、合図してよぉ」

そうしたら、つんつんと私の肩をだれかがつっついて合図しました。
なんだぁ、と思って振り向いたら保健婦さんです。「せんせぇ、
もう時間ですぅ、バスきて待ってますんで、そろそろぉ」との
ことでした。

「あら、もうそんな時間。わかりました」と私はにこにこ
メモおじさんの、肩のカワをゆっくりもとにもどして、
「こんな感じで、家でもやってみてくださいね」。といって、
背中をささーっ、ささーっとなでさすって、おわりにしました。


操体法 仙台勉強会 & 講習会 目次
Copyright(c)2003 Akihiro Kon. All RIghts Reserved.